キツネのきもち

秀岳荘主催のカヌーキャンプで出掛けた洞爺湖で、今年も竹田津実さん(5/31記)に出会うチャンスが訪れた。まるで他人が見たら飼われてでもいるかのように、いつも工房に姿を見せるルルに付いて聞くことができる。
これまでも講演や呑み会の話題として出てくるキツネの話を興味を持って聞いてはいたが、今回は違う。身近に起きているヘンな現象、明らかに他の個体とは違うルルというキツネについての、具体的かつ詳細な疑問をたくさん用意しての酒の席。

まず、同席した皆が反応したのが<ルル>という呼び名。先生はちょっと口の端で苦笑した程度に見えたが、他の者たちからは短絡的でひねりのない名前に大ブーイング。「何でルルなんだよ。そんなに「北の国から」のファンなのか?似合わねーッ!」「しょうがないだろ、最初にルルルル・・って呼んだら近づいてきたんだ。おまえならコーイコイコイとでもよぶのか?」 と、我ながら失点を認めた上での、勝ち目のない寂しい言い訳。

しかし、竹田津先生さすがはキツネのオーソリティー。野生の状態では平均寿命5年程度というキタキツネを、これまでに数千頭も観察した揺るぎない実績を持って、「あんたはキツネか?」と言いたくなるほど、キツネの視線で具体的かつ詳細に解説してくれた(頂きましたと言うべきか)。
人間一般は間違いなく敵だとしても、こころを許せる相手には「あたしを見て」という気持ちが強くなり、しょっちゅう自分の存在を知らせに来るようになるヤツがいて、特に異常な行動ではないらしい。相手に自分を写し、どう思われているか確認し、気に入った相手には自分を好きにさせる行動さえとることがあるそうだ。これをして「人を化かす」というやつか。

ほかにも、キツネとタヌキの行動パターンや出産数が違うわけ、雌のヒグマが授乳時に見せる脱力感や恍惚感、野生動物なりの自己確認と顕示欲など、鹿肉を頬ばり、熊汁をすすりながらの宴席が続いた。つぎつぎ出てくる貴重な話に、「こりゃビデオでも回しといたほうが・・」と思ってもあとの祭り。また次の機会を楽しみにしましょう。ありがとうございました。

好天のもとイベントは無事終了し、工房に戻ってきたらいつもの場所にルルが寝そべっていた。「そうか、ものもらい根性の見下げたヤツだとちょっぴり疑ったけどゴメンな。」