暑さの後に

朝晩の空気の中にヒンヤリしたものが混じるようになり、その姿こそはっきりとは見せないものの、<秋>が気配を漂わせ始めました。
夏の夜、ピュアな結果に一喜一憂を加えながら、世界中の耳目を集めるロンドンオリンピックもフィナーレが近づいてきました。
このオリンピックフィーバーの間にも、その裏側で現実世界が時を進めています。シリアの悲劇もユーロ圏の経済危機にも解決の兆しが見えません。わが永田町でも「党利党略」「個利個略」の情けない駆け引きが続いています。
1年前の党首選後に野田さんが突然言い出した<増税法案>という強い野心に対し、与党も野党も咀嚼能力を欠き、決められる政治というワードを繰り返しながら国民不在の醜態をいつまで続けるのでしょう。
東電は、どうして1年半も経ったこの時期に事故対応の編集済みテープを出してきたのでしょう。都合の良いことに、新聞もTVも連日のトップニュースはメダルと涙の感動物語。

五輪フィーバーだけでなく、「なでしこ」の大活躍や「日本シリーズ」「ワールドカップ」などのスポーツイベントの報道の裏で、狡さに傾くヤツらを見過ごさないようにというのはへそ曲がりでしょうか。
原発の問題も、オスプレイ配備も、将来の社会保障やTPPも、何一つはっきりしたビジョンを示されないまま、なし崩しに無為な時間が経つのを傍観するのは、あまりに無責任ではないでしょうか。熱中の後には弛緩ではなく、深呼吸と覚醒が必要でしょう。