増えるエゾシカ


全道で増え続けるエゾシカが問題になっていますが、札幌市内でも例外ではありません。
毎日通いなれた道の周辺でも、数年前から姿や痕跡を見かけるようになりました。

今朝は塀に沿って植え込まれたオンコ(イチイ)の生垣の傍で、立派な角の雄鹿が疲れきってへたり込んだまま動けなくなっていました。この数年で下半分のオンコの小枝と葉は食い尽くされ、首の届く範囲は丸坊主の状態。
交通量の少ない夜間に道路沿いで採餌することはあっても、夜明けには道路や人家から遠ざかるのが常ですが、空腹に力尽きて座り込んだのでしょう。目は虚ろでちからなく、2メートルほどに近づいても排斥の意思すら示せません。
この位置から15メートルほど先の道路脇で1年前に1頭の雄が同じように行き倒れ、夥しいカラスやキツネが群がって盛大な宴があったのを想い出します。


次の写真は、豊平川対岸の南向き斜面で盛んに餌を探す2頭の雄。上側の鹿が首を伸ばしているのは、すっかり樹皮を食い尽くされて白い肌が剥き出しになったイタヤの幹。この画面の50メートルほど上側にも2頭の雄が、また1kmほど離れたところでも3頭の雄が確認できました。
力のある1頭の雄とたくさんの雌や子で構成されたハーレムと呼ばれる大きな群れではなく、寂しいオス同士、付かず離れずの行動のようです。

近くの果樹園のSさんが、山肌に佇む鹿たちの様子を見ながらこぼしていました。
「いやいや、頼みもせんのにすっかり剪定してくれてよォ、リンゴも梨も全滅だァ!」