ミカドフキバッタ


本州方面ほど台風の影響も無く、雨の日は少なかったものの日照りというほどのこともなく、真夏日もけっこうあって,夏らしいといえば夏らしい。そんな札幌の夏が終わろうとしています。朝夕のひんやりと済んだ空気が秋の先触れとして静かに周囲を覆ってきました。

画像のバッタはミヤマフキバッタと呼ばれることもあるミカドフキバッタです。名前の通りフキを食草にしていて、工房の周辺ではあきれるほどのフキバッタが毎年発生します。同じようなサイズのフキバッタは3タイプいて、この申しわけ程度の羽根を背中に残したミカドの他にも、すっかり退化させて全く羽根のなくなったサッポロフキバッタ、普通のバッタのように飛べるハネナガフキバッタがいます。
春に卵から幼虫になると、この3種のバッタは混然となって、そこら一面無尽蔵に生えてくるフキの葉に取り付き、静かに聞き耳をたてると食み音が聞こえそうなほどの勢いでまさに食い尽くします。
被害を受ける蕗の方はといえば、葉脈だけの無惨な姿になってしまっても次々と根元から新しい葉を伸ばしますので、傷んで株が枯れてしまうことはありません。
今年もフキバッタたちの交尾と産卵の季節がやってきました。草むらのフキから離れ、パートナーを見つけようと、跳びはね、飛びまわって大混乱。
まだまだ暑い昼間です。窓や扉を開けて仕事をしていると、樹脂の中に飛び込むヤツ、吹き付けが終わったゲルコートの上を歩き回るヤツ等に悩まされます。飛べないバッタの跳躍力は驚くほどで、ひと跳ねで窓の外から作業場の天井に止まったり、照明器具に抱きついたりと、少なくとも体長の50〜100倍もの高さに跳び上がります。それに較べると羽根を持ったバッタの跳躍力は少し劣るように見えますが、なにせ自由に水平移動で飛び回るわけですから厄介なことに変わりありません。

厄介といえば、春から秋にかけてそれぞれの事情で決まって大発生する虫たちがいます。冬眠から一斉に目覚めてウロウロと這いずり回るカメムシやテントウ虫。以前に書いた事のある天敵チャバネセセリ。ヒカゲチョウやタテハチョウの仲間、アブやスズメバチなど。10日間から長くても3週間程度で治まりはするものの、硬化を待つあいだの樹脂作業中にはいつもそいつらの動きに悩まされます。
山の中に勝手に工房を作って仕事をしているのはこちらの方。腹を立てるのは筋違いというもの。

バッタたちの活動はもうそろそろ鎮まり、アキアカネやリスアカネなど赤トンボの季節がやってきます。