雪虫、初雪、過ぎる秋

9月に入っても暑い日が続いていたというのに、今年は早かったんです雪虫を見たのが。
例年なら10月の初旬から中旬の好天の日がその姿を認める初日になるのですが、このところ台風が通り過ぎる度に大陸の寒気を引っ張り込んでくれるので、おもわず身震いするような朝が続くからか、10月を前にしてその小さな虫を鼻息で飛ばないように息を殺して掌にふわっと乗せました。
昨日の朝は、通勤時にいつも何気なく目にする郊外の山並みの山頂部がうっすら白くなっているのを確認しました。ニュースでは標高1000メーターを越える峠道はどこも積雪状態ということです。
今頃、峰々を結ぶ稜線周辺の彩りは、ハイマツの深緑とダケカンバの黄金色、ナナカマドやミネカエデの鮮紅、それに雪の純白が加わって、そこを歩く人のテンションを大きく持ち上げていることでしょう。

降りてきた冬の気配に急かされて、下界の樹々も装いを変化させています。
紅葉の一番乗りはヤマウルシ。一日と言えずその葉を紅く変えて景色の中の先駆けを自分に言い聞かせ、季節の旗手の役回りを人手には任せません。
エゾヤマザクラも赤黒くなった葉を順に落とし始めて、その梢をだんだん風が通り易くしています。
そんな気の早いペースに合わせる訳ではありませんが、色づき始めた低木たちを見下ろすように、ヤチダモもその葉の濃い緑を薄い萌葱色に変え始めました。

日いちにちと紅葉は進み、うららかな日に雪虫の大発生を見ると、その10日後くらいには平地にも初雪が訪れます。

やせ我慢の心が折れるストーブ初日はもうすぐでしょうか。