105年ぶり

11月にこれほど真冬日が続いたのは、札幌では105年ぶりだとか。
札幌管区気象台のある街の中でさえそうなのですから、標高も高めの山中にあって常に3〜4℃は低い工房周辺では何日の真冬日があったのでしょう。
月がかわって師走になっても、当分のあいだプラス気温にはなりそうもありません。

毎朝のこと、さらっと積もったフワフワの雪の上にたくさんの動物の足跡。
夏にはよほど注意しないと見えない痕跡ですが、雪の上なら動きのイメージまで伴ってはっきりと観察出来ます。

常に天敵の猛禽やカラスを気にしているエゾリスやヤチネズミは、遮蔽物の無い白い雪原を横切る時に立ち止まることなどなく、最短距離で規則正しい足跡を残します。

右に左にふらつきながら曲線の多い足跡はエゾタヌキです。もともと四肢が短いうえに冬毛でまん丸い体になったタヌキは、10センチも新雪が積もればその足跡のあいだにそっと羽ぼうきではいたような凹みがついています。

直線的ではっきりした意思を感じさせる足跡は、子別れを終えたキタキツネたちです。ときどき立ち止まって首をもたげ、耳を澄ませたり突き上げた鼻で匂いを確かめ、それまでとは違う方角に進んでいます。

身を隠す茂みや木陰が少なくなった冬景色の中、わずかでも気の休まる場所で立ちすくむことの多くなったエゾシカたちも、大きな煮豆の山を残してときどきは移動します。これから雪が深くなってくると細い脚では思うように歩けません。いきおい除雪された歩きやすい道路を利用することが多くなるので、事故の心配が高まります。

動物たちにとって、生き残りを賭けたつらい季節は105年ぶりの厳しさを纏ってすでに始まっています。

みんなが幸運を得て、春にいのちを繋げれば良いのですが。