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スノーシューの製作をやめてから、冬の間は少しのんびりできるのでちょっと夜更かしをしても許される(自分で自分を赦すのだが・・)。

昨夜は、たまたま昼間にNHKが告知していた衛星放送の番組で、今は亡きマイケル=ジャクソンの記録映画<This Is It>を観ておこうと思った。

 

ロンドンを皮切りに50公演の10年ぶりワールドツアーが始まる直前、彼がこの世からいなくなったニュースが世界中を駆け巡った。お抱え医者による薬物の過剰投与だとか、本人の異常な服用が原因だとか、未だに真相はわからないままだが、この映画を見て今更ながら世界的損失に気付かされる。

 

振り返れば20世紀後半を生きた我々みんなは、折々にマイケルから視覚と聴覚でHotな贈り物を受け取ってきた。

まだグループ名もなく、地元のショッピングセンターで歌い踊るジャクソン兄弟の頃は知る由もないが、モータウンレコードに見出され、<ジャクソン5>として世界に飛び出してきた時点ですでに、消えゆく運命のジャリタレでは無かった。

ABC, The Love You Save(小さな経験), I 'll Be Thereなどのリズムとメロディは、半世紀を過ぎた今でも揺るぎない記憶だ。

なかでも、ダイアナ・ロスやステイービー・ワンダーに可愛がられた当時10歳のマイケルは、ソウルやポップスの枠にとらわれないエンターテインメントの申し子のような動きと歌で世界の賞賛を集める。突出した才能が兄弟のグループに別れを告げさせることになるが、ソロとしてスタートした14歳(写真)の頃には、宿命とも言える声変わりで悩んだこともあった。

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再び世界を丸ごと味方につけたのが80年代に入ってからのアルバムThriller=スリラーだ。ちょうどその頃先端だったレーザーデイスクから映されるレコード屋のブラウン管の前には、いつまでも人垣が途切れなかったものだ。Beat Itのヒットに至っては、どれだけ多くの若者をムーンウオークの練習に引き摺り込んだことか。

 

この記録映画が伝えるのは、追随を許さないエンターテナーの努力と素顔だ。

莫大な資産や整形疑惑、バイセクシャルなど、取り巻く噂は数あれど、異常なほどの努力と優しさで完璧なエンターテインメントを作りあげようとする姿は、リスペクトして止まないスタッフのみならず、誰もが感動と彼を失った無念さを禁じ得ない。