またウンコかい・・

今朝がた出勤すると、またヒグマ達の痕跡。

工房から道路を挟んで15メートルのところにフキの密生する草叢がある。
フキなんかこの辺り一帯のどこにでもある。
いくらかたまって生えているからと言って、山菜目当てに来る人たちもこんな道路際の埃っぽいヤツを採って行く人はいない。
そんな場所なのに、何年かにいちどはヒグマがここを見つけて餌場にする。
あまりにも道路際なので身を隠せる訳もなく、もしクルマが通りかかったとしたら、当のヒグマもドライバーも跳び上がるほど驚くに違いない。

5メートル四方のフキが食いちぎられ踏みしだかれ、山のようなウンコも何カ所か。
昨日帰るときには荒れた様子はなかったから、昨夜から今朝までか。
状況からするとあの親子だろうか?

顔見知りのオジサンがクルマから降りてきた。
「そこのあれ、クマだべ。やべーんでないか、ここに居たら。」
ご心配ありがとうございます。  いい〜んです。

じつは工房の回りをグルッと歩いた跡があるんだけど、言わないでおこう。

無事だった! 追記

今朝、病院の待合室で昨日の熊たちを想い出しながら前記を書いたのだが、薬を貰って仕事場に出勤して来ると、工房の周辺の道路のあちこちに熊たちのしるしが置かれていた。



この時期の主な食べ物はフキだから、そのアクでウンコがおもいっきり黒いのだが、それにしても親子3頭分とはいえ、ほんの100メートルほどの間にこんなのが6カ所とは・・。全部で何キロあるのか?
自然界で平らな開けた場所と言えば川原か海岸、その他には人間の作ったこの道路くらいなもの。昨夜からこのあたり一帯の路上でゴロゴロしながらくつろいでいたのだろう。

工房からカメラを持って引き返し、写真を撮ろうとしていると傍の笹薮からガサつく音が! ンッ?落とし物の主たちかな?・・と一瞬緊張したが、若いメスのエゾシカが首をのばし、柔和な眼でこちらを見ていた。

どのウンコもクルマに轢かれていないし、表面が乾いていないところを見ると、ついさっきまでここにいてしゃがみ込んでいたようだ。そんなこと、想像させてくれるだけでも嬉しいじゃないか。

無事だった!

昨秋(2017年9月6日記)逢った親子のヒグマにまた会えた。

昨日の夕方、といってもまだ陽は高く、新緑を透過した木洩れ陽がところどころで道路に光りのモザイクを作っていた。

道路の左肩に母熊が腰を下ろし、その横のさして広くない路上で、それこそ相撲でもとっているかのように2頭の子グマが取っ組み合って遊んでいる。
数十メートル手前でこちらが気付くのとほぼ同時に母熊が頭を上げてこちらを見た。
しずかにクルマを停めると、ゆっくり立ち上がり、昨年見たのと同じように肩の金毛を波打たせながら、子グマ達をうながして前方に歩きはじめた。

昨年逢ったときに2頭の子グマは体長50〜60センチでコロコロと丸くなって走っていたが、いまでは体長も1メートル近くなって、すっかり若グマの体型に成長している。

ヒグマが一腹で2頭の子を産むのはそれほど珍しいことではないようだが、こうして冬を越して、大きくなった2頭の子を無事にここまで育んだ母熊の苦労はいかばかりか。

一定の距離を保ちながら、ゆっくりゆっくりお互いに前進し、やがて左手に現れるむかし畑だった草むらに、幾すじかの踏み分けを残して消えて行った。

この秋には子別れのときを迎える。こうしてこの親子に出会うことはもう無いだろう。
再び逢えてほんのり嬉しい気持ちになったのと同時に、これから先、人を畏れ、人里に近寄らず、人の手に掛かることなく生を全うしてくれることを祈ろうと思う。

人造人間?

軽量で高強度なプラスチック製品を作る方法として、バキュームインフュージョンという真空成形法があります。
一方から樹脂を送り込みながら、余分な空気や樹脂を極限まで吸い出し、その状態で固化させるというものです。

画像は、準備が終わってこれから注入を開始するという段階ですが、このようにチューブだらけの状況を見るたびに、子供のころに見たアニメの場面を想い出すのは私だけでしょうか?

悪い博士の秘密の研究室には、チューブや電線が何本もセットされた怪しい装置があり、スイッチが入れられると煙や閃光の中から人造人間が起き上がってくるという場面。
鉄腕アトムだったでしょうか、それとも違うマンガだったでしょうか、否、アニメではなく何かのドラマだったでしょうか?
とにかくこういうシチュエーションは一度や二度ではなく見てきたような気がします。
こういう作業をする度にそんな印象が蘇るのですから。

このところ寒暖の差が激しくて、一昨日は今年初めての夏日だったのに、今日は日勝峠や天馬街道が雪の為に通行止めとか。片付けたストーブをふと目で探す自分が居ます。

赤い夕陽と紅い花

今日はそれほどでもないのですが、昨日の空はオレンジ色にもやって近くの山並みさえ見えなくなり、夕陽もいつになく真っ赤でいったい何事かと思いました。
ゴビ砂漠からの黄砂かなとも考えましたが、クルマのフロントガラスを拭いても土ぼこりはついていません。
ラジオが伝える気象台からの情報では煙霧だそうです。
PM2.5と聞こえてすぐに中国の大気汚染を連想しましたが、今回のこの現象は東シベリアの森林火災が原因だと言います。
青空に薄い霞がかかって太陽光が直接伝わらないせいかもしれません。ロシアからの風が冷たく感じられます。

今年も我が家の庭のエゾムラサキツツジが満開になりました。
春を告げる花として有名なコブシやサクラに先駆けること一週間。北海道の家々の庭にいっせいに花開き、無彩色だった景色に濃い桃色の斑点をちりばめます。
北海道東部では山野に自生するこのツツジ
丈夫ではあるのですが、冬には葉を落とすので刈り込んで生け垣にするような植栽はされず、かといってメインになるほど大きくもなく、北海道の庭にはあって当たり前という感じで、この時期以外はわりとひっそりと過ごしているように見えます。

この紅い花の勢いや飾らない美しさだけでなく、雪の下に押さえ付けられても決して折れない丈夫な細い枝や、ちぎって鼻に近づけるといい匂いのする小さい葉のことなど、機会をみつけて孫たちに教えておきましょう。

今年も逢えた

工房から100メートルほど下手の湿地に、今年も冬籠り明けの若いヒグマが姿を見せました。
年ごとに個体は違いますが、この時期は雪が消えたばかりの開けた葦原で草の根をほじくって過ごしているのを見掛けます。

まずは遠くから気付かれないように動きを観察すると、確証はありませんが、大きさや動きから3才くらいのオスのような気がします。

ミズバショウを前景にしたベストショットを撮ろうと工房までカメラを取りに戻り、道路の反対側をジリジリと半ばほふく前進で近づこうとしているとき、悪い事に熊とのあいだの道路を軽自動車が通りかかりました。
ドライバーは雪山に隠れたこちらに気付きはしませんでしたが、ふとヒグマの姿が視界に入ったらしく、少し行き過ぎたところで急ブレーキ。おまけにハザードランプ点滅。

オバサンが左側の窓から顔を出し、震える声で「コラ〜〜ッ!コラ〜〜ッ!」
滅多にクルマの通らないこの道に、続けて停まった2台の後続車。
オバサン、興奮した声で後続車に、「熊いるよ〜っ!ほれそこにイ〜〜!」
よく聞こえないオジサンがクルマから降りると、「危ないから降りるんでな〜い!」

3台も並んでしまったクルマの赤いテールランプと騒がしい人間に、平和な時間を破られた若グマはガサガサと笹薮を漕いで見えなくなってしまいました。

せっかくのシャッターチャンスを台無しにされたことも腹立たしくはありますが、オバサン達が、妙な正義感を出して警察に云ったりしないでくれることを祈りましょう。

閃き、もしくは閃光

このところ低い気温の日が続いていますが、まあ、そこそこ順調に雪解けは進んでいます。
カヤック製作もいちおう予定通り消化できていて、『まっ!こんなもんかな』っと、不純な天候にも勝手に納得しているところです。

オーダー分とは別に、2年前からいじり続けてきた新艇の型がやっとできました。

自分自身も含めて、長距離用のツーリング艇としては永くシュマールを愛用してきましたが、数年前にハイボリュームなハルに変更してからは、やはり艇速がそのぶんスポイルされた感じがあるので、スピード重視のツーリング艇としてこの型を作り始めたのでした。
全長5,5M、幅52cm。
1艇目の試乗艇はカーボンを使い、バキュームインフュージョンという真空成形で極力軽く作ったので、艤装をしていない艇体のみの重量は16,5kg。これからラダーやシート等の装着が終われば20kg程度になる予定です。

艇名はアイヌ語の<閃きと>いう単語からMelue=メルウに決めました。

水の上に漕ぎ出して感触を確かめる日が楽しみです。