2015-01-01から1年間の記事一覧

医者はヒトなり

医者もまた人なり。 患者として医者に接する時、ともすれば自分よりも程度の良い人間と位置付けがちだが、いやいや、それはこちらの勝手な思い込みに過ぎないと、あらためて医者自身が教えてくれた。そもそもは先月半ばに始まった。普段は使っていない眼鏡が…

鹿肉パーリー

この時期としては久しぶりに、ほんとに久しぶりに仲間が集まりました。年の瀬を控えて、それぞれが何かを抱えて忙しないことでしょうが、「Mさんが鹿の足を1本持って来る」との情報に、予定を変えてまで大人と子供14人が山の工房へ来てくれました。充分に…

思い立って、思いきって、

<ANA羽田・シドニー直行便12月就航記念オーストラリア6日間の旅>の見出しを見つけた家人が、「申し込んでみようか」と、ぽつりと言ったのはたしか9月の初め頃だった。すぐにネットで申し込んだらしいがキャンセル待ちを告げられ、現実味が薄いまま日を…

40年目のハネムーン

あれはまだ国鉄の頃だったろうか、それともすでにJRに移行していたのか、山口百恵が歌う<いい日旅立ち>をテーマに、デイスカバージャパンのキャンペーンがその頃この国を覆い包んだ。たしかフルムーンというワードもその頃から使われ出したように思う。 そ…

大雪

12月7日は二十四節気の大雪(だいせつ)。だからという訳ではありませんが除雪機を出すほどのけっこうな降雪でした。 先月の24日にいきなりド〜ンと来た雪は、それからも氷雨になったりこやみになったりしながら降り続き、ウンザリするような日の連続で…

静かな朝

焦がれて待っていた訳ではないのです。その音の無い朝は今日とつぜん訪れました。 北国の生活者なら誰もが幾度となく体験する予感。目覚めた瞬間に呼び覚まされる、古くておぼろな記憶でしょうか。全く音が消えた時の無音の音が聞こえてきます。微細な雪の結…

忘れ花

<忘れ花>。また<帰り花>とも呼ぶそうです。底意地の悪いフェイントだったのか、二度ほど白い物をちらつかせた冬は気まぐれに姿を隠し、初秋のやわらかな暖かさが戻ってきました。 騙されて開花したのは、北海道の山野に自生し、春いちばん、コブシやレン…

近くて遠い歴史遺産

この二十数年、毎日のように<旧簾舞通行屋>という市指定の有形文化財の前を通り過ぎてきました。 江戸から明治に時代が変わった頃、本願寺の普請で札幌から太平洋側の噴火湾を結ぶ通称本願寺道路(後の有珠新道)が開通しました。羆や狼が跋扈し万古𨨞を知…

雪虫

13日の夜、街なかでは冷たい秋の雨でしたが、翌朝の工房周辺ではあたりが白くなっていて、この日がやや早めの初雪ということになりました。 大気の冷え込みに対して木々の紅葉は遅れ気味で、緑色と黄色とがせめぎあっていますが、冬の気配はすぐそこまで近…

南極の道具

「観測船そうや」が北氷洋の調査で使う氷厚測定器のケースを春に修理しましたが、今度は「南極観測船しらせ」の備品で、同じ物の修理依頼がありました。前後に4M以上もあるアンテナをすっぽり覆って雪氷や海水から守る、そのケースの袖の部分が大破してしま…

試漕

春から仕事の隙を縫って型を起していた新しいカヤックが完成し、色々なテストをするために洞爺湖に出かけてきました。同じような手漕ぎの小舟でも、これまで作って来たツーリング用のカヤックと違って、いわゆるレクリエーショナルカヤックというやつで、求…

十勝・行き当たりばったり

急に思いついて、カミさんと二人+犬で十勝方面に出かけてきました。 いや、とくに計画していた訳ではありません。十勝に行こうかというのさえ出発の1時間前、朝の情報番組を見ていて何となくそうなったというだけのこと。 あちこちの道の駅などに立ち寄り…

9月19日

「やったぞ、やった!安保関連法案はついに成立だ。憲法なんか変えなくたって、ちょっと頭を働かせて数字を使えばこの通り。わが陣営の議席数、200時間超の審議時間に60日ルール。もうこれで当分は答弁で冷や汗をかくこともないし、外で騒いでいるバカ…

シゴト

写真家であり映画監督であり獣医師であり文筆家でもある竹田津実さんは、長年の仕事の積み重ねでキタキツネの存在を身近なものとして定着させ、それまで「北海道といえばヒグマ」一辺倒だったイメージまでも変えてしまった。 そのキツネの先生が、おそらく一…

夏のミポ◯ン

中山美穂が若い頃だったから、同じ名前の彼女もミポリンと呼ばれていた。もうそんな呼ばれ方をする歳でもないだろうし、もしかしたら本人も快くは思っていないかも知れないが、たまに会ってもついついそう呼んでしまう。 20年近くまえ、冬にスキーのインス…

シリアルナンバー

いつもの顔ぶれに、しばらくぶりの仲間、それに懐かし〜い人も交えて、真夏の積丹の海を漕ぎました。 出艇前の砂浜に並んだカラフルなカヤックの数々。ファルトの1艇を除いた全ての艇がノーライト、つまり私が作ったシーカヤックでした。 ごく最近作ったも…

生者必滅とは言うけれど

親しくしてくれていた、秀岳荘の工場長が亡くなった。 69才。脳梗塞だそうだ。 創業家金井一族の末子として、高卒後は東京の山岳テント店に修行に入り、爾来半世紀に亘って山道具の変化と進歩に関わって来た人だった。 お互い得意分野は違ってももの作りの…

ホオジロくん

半月ほど前からのこと、ホオジロくんが一日に何度もこの車の周りにやってきます。 ホオジロさんではありません。メスの顔は全体が茶色っぽいので違います。これだけ黒と白のはっきりした顔はホオジロのオスなのです いくら整った顔立ちといっても、ここまで…

困った奴ら

夏の脇役といえば、毎年ホトホト悩ませてくれるコイツらを挙げない訳にはいきません。 この、羽根が退化したイナゴのようなバッタの名前はミヤマフキバッタといい、同じ時期に似たような場所で大発生するサッポロフキバッタとよく似ています。ちょっと見ただ…

この夏の脇役は

工房周辺に所嫌わず繁茂するエゾイラクサの葉に、無数の黒いヤツを見つけました。もともと葉や茎に細かなトゲがあって嫌われ者のイラクサです。旺盛な食欲で食い尽くされてもノープロブレム、むしろウエルカムなことでしょう。ただ、このクロちゃん、例年に…

望まれない変更

我が校の生徒会長シンゾー君のひとり善がりが校内をざわつかせています。 非暴力を謳った校則は変えられないけれど、何か都合の悪い状況になったときには武器を持って戦えるように、生徒会だけで行動指針を決めてしまいました。一般の生徒には詳しい話をしな…

狩場山直登沢

本業は登山家・・といえるほど山に時間を使っている知り合いの新聞記者さん宅から、ギョウジャニンニクのお裾分けを頂いた。 聞けば道南の最高峰狩場山に登ったついでに採ったとか。後日、本人に会う機会があってちょっと立ち話。 「いやア、このあいだはごち…

雪の蔵

今年も無意根山の残雪が光る季節になってきました。 晴れた日の朝、この山の白さが目に入る度に清々しさが、そしてそれと共に感謝の気持ちが湧いてきます。 真夏の7月に白さが無くなるまで、大量の水が雪のかたちで山肌に残り、梅雨のない札幌の街に水不足…

ヘビだって恋する初夏

どうも毎年この時期がヘビたちの交尾期になっているようです。 去年もそうでした。想い返すと5月の末から6月の半ばまでの暖かい日、毎年必ず一度や二度はテレビの裏側の暖まったスペースで濡れ場を演じてくれます。 2012年6月19日に書いたような3…

500本の色鉛筆

いっときの主役だったサクラやコブシが舞台下手の袖に引っ込むのを待っていたかのように、その他大勢のあらゆる樹々の若葉がいっせいに萌え出しました。 毎朝目にする道沿いの山も、モコモコモコモコと膨らんでいます。 テキトーな写真で伝わり難いけれど、…

草もち

写真中央にいる帽子の女の子。このメンコイ4才の孫にね、春になったらみんなで草餅ついて食べようって、雪深い頃に言ったんですよ。 そのときのこの子の頭の中は??がいっぱい。『えっ、草? くさなんか食べるのやだナ』・・・ンで、きっぱりと断りました…

ジェラシー?

二ヶ月くらい前の朝方、留萌沖を航行中の<そうや>(昔の南極観測船。今は<しらせ>に南極を任せて北の海で活躍)から電話が入った。北極や南極で極地の気象や氷を研究している知り合いの准教授からだ。数日前に台風並みに発達した二つ玉低気圧が北海道に…

気配

雪の白さと黒い地面のオセロゲームが始まると、冬のなごりを押しのけるようにフキノトウが枯れ野から吹き出します。地肌にちらばる萌黄色の点々は、遠目にはまるで満天の星のように光って見えています。 コブシやサクラの開花と競うように、これから10日ほ…

もりのクマさん

工房のすぐ近く、前回の画像と同じ湿地で今朝ヒグマを見かけました。工房に置いてあるカメラを持って、足音を立てないようにそっと引き返し、姿が確認できてからは腰を屈め、息を殺してジリジリと間合いを詰めます。冬籠りから目覚めたばかりののこの時期、…

春に響く声

いつもグズグズと去りぎわの悪い冬が、今年はあっさりと春にこの土地を任せて退散したようです。工房の近くの湿地から何かの気配がしていました。といっても100メートル以上離れた場所。耳を澄ますと僅かに、ヒリヒリヒリヒリというかシャラシャラシャラ…