近くて遠い歴史遺産

この二十数年、毎日のように<旧簾舞通行屋>という市指定の有形文化財の前を通り過ぎてきました。
江戸から明治に時代が変わった頃、本願寺の普請で札幌から太平洋側の噴火湾を結ぶ通称本願寺道路(後の有珠新道)が開通しました。羆や狼が跋扈し万古𨨞を知らぬ原生林を、人の手だけで百数十キロ、馬が通れる幅の道を開削することがどれだけ難儀なことかは想像に余りあります。
何度か改築されているようですが、元の建物は明治五年にこの道路の駅逓として設けられました。
北海道ではこんな和風な建築物を目にすることがあまり無く、道路沿いに現れる、時代を遡ったかのような景色に、それと知らなかった人はエキゾチシズムさえ感じるようです。
当主の黒岩家ご家族は別棟にお住まいで、現在この建物は資料館として開闢以来の史料や道具などが展示されています。いちど昼間に時間を作ってじっくり見学してみたいと常々思いつつ、通りかかる度に「またそのうちに」と言い訳してしまう自分です。

紅い葉っぱは潔い・・。
画像は先週のものですが、昨夜からの雪でこの画面左手の紅葉はいっぺんに無くなってしまいました。山肌も赤みが失せ、ナラやカシワの枯れ茶色とシラカバの黄色ばかりが残って、明るい黄土色に変わっています。この雪が解けてまた降り積もり、あと2〜3度繰り返すと全ての落葉樹が裸になって越冬に備えます。