2012-01-01から1年間の記事一覧

手を揉む

はるか昔、十代の終わり頃のこと。当時住んでいた東京から、転勤で島根から移動した両親を訪ねて鳥取に旅したことがある。 不肖の息子ではあったが、温かく迎えてくれ、夕食が半ばすすんだところで一杯入って機嫌の良さそうな親父から唄が出た。当地に伝わる…

意外な記録

遅れてきた初雪はひと月前から一度も消えることなく次々と降り積り、予感が当たってとうとう根雪が確定してしまいました。根雪の定義はけっこうややこしく、正しく理解している人は少ないようですが、気象台の露場(ろじょう=芝で覆われた日当たりの良い平…

テーピーピー

「やいやー、ワヤだな。今年は雪おそくてたいした塩梅よかったのにョ。来たと思ったら一気だもなァ。」頭や肩にのせた雪を払い落としながら、農家のYさんが入ってきた。 この人、選挙が近くなると顔を出す。いつものように「○○に頼むでや!」と言うのかと思…

冬の蒼空

除雪の手を休めて梢に目をやる。 これ以上無いほどに白くそして柔らかい雪が、いま落ちてきた澄み渡る碧空に手を伸ばしている。北国の冬の青空がこんなにも透明で蒼いのは、緯度が高く気温が低いからだと何となく思われているがそれだけではない。 ゆっくり…

新商売?

「札幌市の昭和」という写真集を予約までして手に入れた。写真と説明文を読みながらパラパラめくっていくうちに、ちょっとした違和感がどんどん増幅してくる。どうしても腑に落ちないので、出版社をネットで検索した。 ハハァ、そういうことか。騙されたとま…

初雪が根雪?

18日の朝、ルルが確かめようとしていた冬の気配は、どうやらホンモノだったようだ。 あの日から野山は白く覆われ、今日はとうとう本格的な冬モードに突入した。札幌管区気象台のある街中では、いっとき日陰を除いては雪が消えたようだが、工房周辺では、標…

戦国芝居

哀しいことに、選挙を控えたこの国の頂点近辺は混迷の極みを呈し、理念も品格も無い政治屋どもが有権者そっちのけの恥知らずな離合集散を重ねています。 掲げた旗をさっと背中に隠すわ、勝手に取りかえっこしておいてまた喧嘩別れするわ、こんなの政治家じゃ…

冬のにおい

前夜から降り続く雨が、朝には上空に侵入してきた寒気に冷やされて氷雨になってきた。 久しぶりにルルが姿を現し、いつもの場所に腰を下ろすと、その氷雨に打たれながら何かを嗅ぎ取ろうとしていた。 濡れた空気に何の匂いが漂うというのか、目を細め、突き…

インディアンサマー

なかなか里に雪が降りてこない。山の上はとうに白くなり、上等なケーキに振りかけられたフロストシュガーのような新しい白を見せてくれるが、雪線は千メートル付近に留まってモジモジしている。 否応なしにやってくる冬だから、そりゃ少しでも遅いほうがあり…

何と申しましょうか

<どぜう>をもって自任する我が総理は、ワンポイントだった消費増税を終えてからというもの、就任当初の勢いをまったく無くし、その後の夏以降ほとんど何もやっていません。野党や国民世論が苛立てばイラだつほど、ヌラ〜リクニョリと言葉にヌメリをまぶし…

ヤマモミジ

今年の紅葉の不甲斐なさを昨日ぼやいたばかりだが、がんばって紅の極みに届こうとしている街路樹のヤマモミジに出会った。 このカエデにはたくさんの種類があるが、葉っぱのかたちに特徴があることから誰でも知っているし、亜寒帯から温帯にかけてこの仲間は…

赤のちから

毎朝の通勤ルートにしている、国道とは川を挟んで反対側にある裏街道。 山肌に朝日があたって、思わず「錦秋」の文字が浮かんだ。 車を停めてカメラを取り出し、レンズを向けようとして暫し躊躇。 どうも例年とは紅葉の感じが違う。鮮やかな紅葉というよりは…

森が危ない

夏が長びいたせいで暦が半月以上も遅れているようです。工房周辺の木々もさっぱり紅葉が進まず、まだほとんどの木の葉は落ちもせずに青々としています。そんなのんびりムードの地上のものたちを置き去りにして、気温だけが冬に向かってピッチを上げてきまし…

ルルの1年

・・斜め後ろから何となく視線を感じてふと窓の外を見ると、若いキタキツネがいつからそこに座っていたのかジッとこちらを見据えていた。ドアを開けて2〜3歩進み、「オイ、どした・・・。ルゥルルル・・・。」怪訝そうな顔でちょっとだけ頭を傾げるが動こ…

だるまさんがころんだ

子育てから開放されたからか、ルルの動きにどことはなしに若い頃の軽快さが戻ってきた。毛艶も良くなってきたし、なにより独り身の気楽さが眼差しの奥に潜んでいた暗さをどこかへ押しやった。 いつもの林から草地に出てきたところを見つけて、写真に撮ろうと…

合掌

昨夜、帰宅しようと工房を出てすぐ、ヘッドランプの灯りの中心になにやら丸いかたまりが・・。 クルマを降りて近づくと、道路の真ん中にエゾタヌキが横たわっている。事故死だ!という直感はありつつも、後ろ向きの姿には悲惨な状況が見えず、フワフワの毛先…

バードストライク!

今朝、コーヒーを啜りながら新聞を読んでいると、自宅の窓ガラスに「コンッ」というさほど大きくはないが耳の奥に残る音。「ンッ?もしかして・・」とベランダに出てみると、思ったとおり足許に小鳥がうずくまっている。体重5グラムほどのハシブトガラだ。…

小さい秋みつけた

長かった夏が終わり、大雪山からは2週間遅れの初雪の便り。しかし、寒暖差がそれほどでもないせいか紅葉前線はまだ高山に留まり、札幌近郊の里山にはしばらく下りて来そうもありません。工房のそばの古木の幹にやっとヤナギタケが出てきました。ヤナギタケ…

どこへ行くのォ

あまりにも深く溜め息をついたせいでしょうか、一瞬、その底で息が止まるのでは?という心配がよぎりました。 昨晩、いつものように晩酌しながら夕刊を見ていたときのこと。見慣れた天気予報のマーク以外、1面はたった3つの大きな見出しとその記事で埋めら…

鉱石ラジオ

鉱石ラジオを知ってますか? そう、イヤホンで一人で聞くヤツ・・っといえば、若い人ならスマホ?もうちょっと年長者ならウォークマンでも連想するんでしょうか。 でも、電池も要らないんです。・・そんなのある訳ないと思うでしょ。電気がないのにどうして…

暖まる地球

北極の海氷調査を終えた大学の先生から、帰国の知らせと共に氷厚測定の際の画像が送られてきた。先日来、衛星画像などで報道されているが、北極を覆う海氷はこの夏かつてないほど狭くなり、船による調査自体も大変だったようだ。砕氷船のクレーンから吊り下…

しっぽのバチ

そう、ラクーンの尻尾を窓ガラスに貼り付けて出掛けたまではよかった。でも、帰ってきて部屋に入ると大変なことに・・。 締め切ったバスルームの窓には正面から西陽があたり、どれほどの熱が、充分になめされていない生乾きの革に加えられたのか。窓の下に落…

アライグマといえば・・

昨日アライグマのことを書きながら、いろんな事を想い出した。北米原産のコイツは現地では「ラクーン」とよばれ、アラスカやカナダの極北部を除いた北アメリカ全域に棲息し、人間に似たしぐさや愛嬌のある表情から、野生動物ながら誰にでも親しみを感じさせ…

ラスカルの末裔

暗くなってからの帰り道、ヘッドランプの灯りの中をアライグマが横切った。最後に見かけたのは確か5〜6年前だから、記憶の中でもう過去になりかかっていた。20年前にこの山の工房に移ってきた頃は、キョトンと見上げてはトコトコと歩き去るエゾタヌキが…

南極のウンコ

阿部幹雄さんが講師で、北大・朝日新聞・HTB共催の南極講座を聞きに北大に出かけてきた。前回で懲りているので、今日は一人で歩いて入る。 のんびり歩いても汗がふきだすような厳しい残暑だが、北13条通りのイチョウ並木の下は優しい空気がゆっくり動い…

選挙の目玉<原発0>

民主党が日和った。形勢の好転を望めないまま近づく選挙に、少しでもマイナス要因を減らすべく、なりふり構わず迎合のポーズをとりはじめた。 世論の高まりを無視できないとして、これまで「2050年代に原発0を目指す」としていたものを、「2030年代…

9月のルル

ついこの間まで、ボロクズのように体のあちこちに纏わりついていた冬毛をすべて落とし、すっきりした夏毛になった。冬毛に較べて尻尾の太さは半分ほど、体毛も若い柴犬ほどの短い刺毛で見栄えはしないが、そんなことは知ったこっちゃない。イヌ科のキツネが…

美国で会いましょう

例年であれば、秋がひんやりとした空気を首筋になでつけてくる頃なのに、どうしたことか、8月後半からぶり返した真夏日が北海道らしさを暑さで払いのけています。1992年に始まったシーカヤックジャンボリーも、なんとか続けてきて、振り返れば21年。 …

開かれた大学?

北海道大学総合博物館で「南極フロンティア展」が開催されている。 北大出身で南極に3度も行っているジャーナリスト阿部幹雄さんから、お誘いと案内を頂いた。 数年前に作って南極に送り、今でも現地で使われている輸送用ソリの内の1台が、持ち帰って展示…

キャンパーって?

写真だとまあまあに見えるが、かなりポンコツのキャンパー(よくいうキャンピングカーは和製英語なので国外では通じない)がある。最近では子供達も独立して家を離れ、使う機会も多くはない。それでもあまり長い期間放置しておくと本当に壊れるので、年に何…