2016-01-01から1年間の記事一覧

NZの風

ニュージーランドの風をたくさん受けて帰ってきました。秋色に染まる湖畔を撫でてゆくやわらかな風。 枯れ野に群れなす羊たちを牧柵の隅に追い立てる冷たい風。 クジラやイルカたちとひと時を過ごした船を包む暖かい潮風。 氷河の上に降り立った時のヘリコプ…

帰ってきたホオジロ君

昨年の春から夏にかけて工房の周辺で過ごしていたホオジロが今年もまた戻ってきました。 昨年の7月25日に記した、ナルシストのオスです。 暖かい地方では、冬の渡りをしない留鳥として過ごすらしいのですが、北海道で越冬はできません。それほど長距離の…

バキュームインフュージョン

怪しい研究室のベッドの上に寝かされた人造人間には、無数のチューブがつながれ・・。子供の頃に見た漫画に出てくる、悪い天才博士が死体に命を吹き込むシーンはいつもそんなカットで始まったように思います。四半世紀以上もカヤックを作ってきて、より高い…

北海道新幹線開業

今日が北海道新幹線の開業日だということは、ずいぶん前から伝わってきていた。 歴史的なイベントとして、だんだんとうねりは大きくなり、このところの盛り上がり様はとまどうばかり。そしてその大波が今日、函館の地にくずおれ覆い被さった。今日の新聞各紙…

春は遠のき

満開の河津桜がニュース画面に満ちていたのはもうひと月も前になるでしょうか。この特異な品種の桜を各メデイアがこぞって取り上げるのは、話題性こそがいのちのニュース番組としては仕方のないことではあります。 しかし今日のニュースでは、本物の桜前線が…

となりの灯り

工房の東側にスキー場があります。 現在の名称はFu's(フッズ)スキーエリアですが、以前は国設藤野スキー場と呼ばれ、札幌オリンピックを覚えている世代には、スキー場としてよりもリュージュやトボガンのコースとしての方が知られているでしょう。石狩川か…

腰痛

「ウッ!」と、おもわず声が洩れ、そいつはいつも突然現れる。 たいていの場合、踏んばって重い物を抱え上げるような力む体勢ではなく、何気なく腰を屈めて下がりきる直前くらいに、5番目の腰椎あたりから脳髄に向って傷みが駆け上がる。激痛というほどでは…

「二月の匂い」

手が覚えているような仕事を何気なくこなしている時、耳をすり抜けていくラジオの音にふと懐かしさを覚えて頭を上げた。 曲名も歌手名も、またそれがリスナーのリクエストによるものかさえも聞き逃したが、このやや低めの声は2年前に死んだ稲村一志さんの歌…

生き抜く力

大寒を迎え、これから節分にかけての2週間のうちに寒さは底に達し、積雪深も平年値は最高を記録します。 ここ2〜3日続いた960hPaという台風並みの低気圧が、オホーツク沿岸や道東にドカ雪をもたらしました。 とはいえ、札幌近辺だけは例年とそれほど変…

始めた時、終える時 ⑵

「やいや、大したイイんだワこれ。畑に埋けた野菜取りに行くのに、たんびに雪掘って道つけなくていいもの。」 実家がタマネギ農家という知人に、『よかったら使ってみて』と渡した試作段階のスノーシューを、本人ではなくバアちゃんが愛用してくれていた。 …

始めた時、終える時 ⑴

諸般の事情からスノーシューの製作を終えることにした。想い返せば、現在につながるアルミフレームのスノーシューがこの国に上陸したのは1990年代初め頃だったと思う。 それまで主にアメリカ東北部で、蒸し曲げたアッシュ材のフレームに革ひもを張った、…