ブラックアウト

庭から見上げる夜空は、これまで見たことがないほど不気味に美しかった。家々の明かりも街灯も、遠くの高層ビルで瞬く赤い点滅灯さえも消えて、190万都市札幌が夜の闇の底に沈んでしまった。全ての人工の光りが失せた北海道の上空からは、無数の星が眩し…

吊り橋二題

札幌市を南から北へ貫く、石狩川支流の豊平川。上流域が幾分緩やかになって中流域が始まるあたりに<十五島公園>という河川敷の公園があります。その名にあるように、流れの中から幾つもの岩が島のように顔を出し、渓流の趣を楽しめる古くからの名所として…

スマホめ!

(知らなかったなんてことがある訳はないのだが)知らない間に春が夏に変わり、知らないうちに暑さのピークもお盆も通り過ぎて、朝夕の空気は秋の冷たさ。 歳をとると一年が早いのはかなり以前から身にしみているが、自分がもうジジイだと自覚しはじめた頃か…

デジャヴ?

ひと通り花の時期が終わり、旺盛な緑の勢いに視界のほとんどを占められる夏。 道端の、花房に群れる純白の蝶のような装飾花を見つけてシャッターを押した。 語感も好きなサビタの花だ。 和名はノリウツギで糊空木と書く、その漢字といわれをを確認しようとし…

室蘭で車中泊

先日のこと、かねてより懸案だった<室蘭やきとり>を食いに行こうと急遽思い立った。 <やきとり>とはいうものの鶏肉ではない。 豚の精肉を串に刺して軽く塩を振っただけ。 ネギもアスパラも挟まない。 ただの白い薄切りの精肉にたっぷり辛しを塗って口に…

アライグマ復活!

幼児の足くらいの大きさで長い指が5本!! 見まちがえようの無い足形だ。 なんてことだ!居なくなったと思っていたのに、やっかいなヤツらが復活した!このデビルの足跡を残すエイリアン達がこの辺り一帯を支配したのは、今から20年程も前になるだろうか…

もの云はぬ客

曇天模様が数日続いていたが、久しぶりに爽やかな朝の太陽を肌に感じながら工房のドアを開ける。 次々にカーテンを開けて部屋に光りを取り込んでゆく。 最後の窓のカーテンを左手で勢いよく引いたときだ。その手首にひんやりとした感触とともに結構な重みが…

カムイの運命

あの親子のヒグマを最初に見掛けてからもう10日を過ぎる。ここ何日かはその痕跡が認められないので、もしかしたらここよりももっと奥へ移動したのかもしれない。いや、そうであってほしい。数日前、2台の4駆車が我が工房の傍に停まり、オレンジのベスト…

またウンコかい・・

今朝がた出勤すると、またヒグマ達の痕跡。工房から道路を挟んで15メートルのところにフキの密生する草叢がある。 フキなんかこの辺り一帯のどこにでもある。 いくらかたまって生えているからと言って、山菜目当てに来る人たちもこんな道路際の埃っぽいヤ…

無事だった! 追記

今朝、病院の待合室で昨日の熊たちを想い出しながら前記を書いたのだが、薬を貰って仕事場に出勤して来ると、工房の周辺の道路のあちこちに熊たちのしるしが置かれていた。 この時期の主な食べ物はフキだから、そのアクでウンコがおもいっきり黒いのだが、そ…

無事だった!

昨秋(2017年9月6日記)逢った親子のヒグマにまた会えた。昨日の夕方、といってもまだ陽は高く、新緑を透過した木洩れ陽がところどころで道路に光りのモザイクを作っていた。道路の左肩に母熊が腰を下ろし、その横のさして広くない路上で、それこそ相撲でも…

人造人間?

軽量で高強度なプラスチック製品を作る方法として、バキュームインフュージョンという真空成形法があります。 一方から樹脂を送り込みながら、余分な空気や樹脂を極限まで吸い出し、その状態で固化させるというものです。画像は、準備が終わってこれから注入…

赤い夕陽と紅い花

今日はそれほどでもないのですが、昨日の空はオレンジ色にもやって近くの山並みさえ見えなくなり、夕陽もいつになく真っ赤でいったい何事かと思いました。 ゴビ砂漠からの黄砂かなとも考えましたが、クルマのフロントガラスを拭いても土ぼこりはついていませ…

今年も逢えた

工房から100メートルほど下手の湿地に、今年も冬籠り明けの若いヒグマが姿を見せました。 年ごとに個体は違いますが、この時期は雪が消えたばかりの開けた葦原で草の根をほじくって過ごしているのを見掛けます。まずは遠くから気付かれないように動きを観…

閃き、もしくは閃光

このところ低い気温の日が続いていますが、まあ、そこそこ順調に雪解けは進んでいます。 カヤック製作もいちおう予定通り消化できていて、『まっ!こんなもんかな』っと、不純な天候にも勝手に納得しているところです。オーダー分とは別に、2年前からいじり…

マウントクックの風

アオラキ=マウントクックは今回も青空のもとで秀麗な姿を見せてくれた。<マウントクックの風>という表題と、画像の澄み渡った景観からは、爽やかで気持ち良いそよ風を連想される方が多いだろう。いや、この画像が撮られた時はまさにそうだったのだが・・…

世界的有名吊下乳帯

世界有数のリゾートたるクイーンズタウンの周辺には、街を囲むようにコロネットピーク、リマーカブルズ、カードローナ、トレブルコーンなどのスキーリゾートが点在する。そのうち、クイーンズタウンとワナカの中程に位置するカードローナスキー場を通過した…

ZENKURO

興味をひかれる情報がクイーンズタウンにあった。 ニュージーランド産の日本酒があるという。 しかも作っているのは日本酒の好きなニュージーランド人。氷河を戴く山々から滲み出してくるこの地の水に惚れ込んだ3人の男が、一人の日本人を加えてこのクイー…

ミルフォードサウンド

ダニーデンの南、ワイホウラ湖畔を翌朝出発した時にはまだ小雨模様だったが、進路を西に変えたあたりから雨も上がり、果てしなく続く羊の放牧場を突っ切っての快適なドライブになった。 まわりの景色に見とれる余り、分岐点を見落としてすっかり行き過ぎる失…

モエラキの丸い巨岩

成田空港。出発前の待ち時間。パソコンでニュージーランド気象庁のホームページを検索して、これから天気が崩れるのは判っていた。 オークランド国際空港に着いた時は曇り空。 そこから国内線に乗り換えてクライストチャーチへ向かうが、いったん離陸した機…

夏、のち猛吹雪。

夏の・・と云っても日本のような酷暑ではなく、<南半球の楽園>の形容に似合った優しい季節のニュージーランドから帰ってくると、北海道はいきなり暴風雪警報を伴った春の嵐。今シーズンは少雪に終わるものとどこかでタカをくくっていたが、南寄りの風がも…

どうなってんだ〜!

先週半ばのこと、昼メシを済ませてお昼のワイドショーを見ながらくつろいでいると携帯電話が鳴った。本人確認のあと、クレジットカード発行元のセキュリティー担当者だと告げる。「10分ほど前にネットで大きな買い物をしようとなさいましたか?」 「いやい…

想い出の書店

所用で上京した折りに、ホテルが近かったこともあり、むかし時々のぞいた本屋を訪ねてみようと思った。 本棚の片隅に処分できずに積み上げたままの1冊を見つけたのがきっかけだった。古い本を見つけて懐かしい気持ちになることはあっても、それを買った本屋…

最後の1台

1996年から作り続けてきたスノーシューですが、その製作をやめてから今年で3年目になりました。 これまでにおよそ1万台を作りましたが、多くは今でも各地で使われているようです。 「せっかく普及してきたんだから、なにも止めなくても。」との声も頂…

ミナミタラバ・・?

朝な夕なの通勤時、それに仕事をしている間のず〜っと、一日中ラジオの音が聞こえています。真剣に聞き入ることなどほとんどなく、音楽もトークも人生相談も右から左へと通り過ぎて消えて行くのですが、このごろ気になっているというか、聞く度にムカつく思…

New Zealandという国

ニュージーランドという国のこと、日本人の平均的イメージはどんなものでしょう? 「赤道を挟んで季節が真逆な国。」 「ロードオブザリングやラストサムライのロケした国だっけ。」 「羊をいっぱい飼ってる!」 まあ。フツーはそんなイメージでしょうか。た…

105年ぶり

11月にこれほど真冬日が続いたのは、札幌では105年ぶりだとか。 札幌管区気象台のある街の中でさえそうなのですから、標高も高めの山中にあって常に3〜4℃は低い工房周辺では何日の真冬日があったのでしょう。 月がかわって師走になっても、当分のあい…

闇を切り裂いて

なんとなくバタバタと日々を送るうちに立冬も過ぎさり、山肌はすっかり冬枯れの無彩色になりました。 先月までの叩きつけるような氷雨やみぞれは今月になって硬いあられになり、11月も半ばの今日、窓の外には小さくちぎった白いわたのような雪がゆっくり舞…

無意根山初冠雪

気持ちよく晴れ渡った秋空の下、今朝の無意根山は雪で白くなった姿でいつもの場所に座しています。数日前からなんとなく白くは見えていたのですが、うっすらと雲がかかったり霧のようにもやっていたりで、はっきり確認はできませんでした。 あと2週間もしな…

雪虫の舞うころには

色づいた木の葉はわずかな風で落ち始め、柔らかい斜光に雪虫舞う季節になりました。毎年のことですが、この時期にはありとあらゆる虫たちが越冬の準備に入ります。 木々の根元に潜るもの、樹皮の隙間に潜むもの、卵に次代を託して死に果てるものと、それぞれ…