2013-01-01から1年間の記事一覧

哀しい人々

何年か前に「国家の品格」という新書がミリオンセラーになった。 新田次郎氏と藤原ていさんのご子息の、作家でもない藤原正彦氏の講演録という意外性から手に取り、そして一気に読み終えたのを記憶している。 その新書は知人に廻したので、いま読み返すこと…

ギョウジャニンニク

窓の外の景色の片隅に残っていた雪が今日やっと消えた。 遅い初雪だった去年の11月から一度も消えることなく、ずっと土の上に乗っかっていた白いヤツが視界から去った。 同時に今日の朝、史上2番目に遅いというサクラの開花宣言が札幌に出された。サクラ…

つらくね?20代

<つらくね?20代の現実> ・・去年のいつ頃だったか、確かそんなタイトルの特集記事を新聞で見たような気がします。安倍総理をはじめこの国の大人達は「経済成長よ再び」と、頭の隅にあの高度成長期の記憶を映しているようですが、いまの<20代>は、昭…

水面を撫でる風

この10日ほどの間に雪解けはハイスピードで進み、北国の里山にもやっと春らしい空気が充満し始めました。 温もりのある風が水面をやさしく撫で、待ちかねていたミズバショウにみじかい時の時を告げています。 雪の白さだけが主役の冬の半年が終わり、これ…

遅い春

冬も半ばを過ぎてからの大雪と低温は、4月後半になってもまだ春を押し留めて、容易に季節を進めようとしない。 南向きの斜面や道路上の雪は解けたが、日陰や窪地にはまだ気が滅入るほどの雪が残っている。雪の下だった枯れ野が一冬越した姿を現した。 地上…

春は鳥から

大雪の影響は4月になってもまだ続き、例年の里山歳時記からしても半月はゆうに遅れていて、道路以外はまだ一面の雪景色。いつもの年なら今頃は口にしているはずの山菜たちもまだ暗い雪の下。週末の暴風雨で積雪はかなり減ったし、5月の半ばまでには暦の遅…

根開き

平年の根雪の終日はとっくに過ぎたというのに、関東ではもう桜が散っているというのに、腰の丈をゆうに越すほどの雪が、無言で春を遠ざけています。 それでも、山の斜面では根開き(ねびらき)が始まりました。 一年中で今がいちばん光溢れる森の中。 柔らか…

アトムの子

<戦争を知らない子供達><団塊の世代>そして<アトムの子>という代名詞で呼ばれる戦後生まれの世代も、気が付けばベビーブーマーからどんどん高齢者の仲間入りです。初めは漫画で、後には白黒TVのアニメで<鉄腕アトム>にくぎ付けになってから半世紀…

蜜月

工房から30Mほどのところにある、重なった倒木の下の広い空間を冬の別宅にして、もう2週間以上もルルとショーンのハネムーンが続いている。本来の巣を引き払ったわけではなく、ときおり様子を見に行っているようだが、最近はほとんどの時間をこっちで過…

アベノミクスはええじゃないか?

<ぶら下がり>や答弁で話す時の、含み笑いを押し殺すような安倍さんの顔が気持ち悪いんです。 イチかバチか強気のポーズでスタートしただけなのに、あれあれと円安は進み、予想外に株価は上昇。 政府も与党も、思惑を大きく上回る市場の反応に、半信半疑な…

若者たち

昨年生まれたルルの子供が、2頭連れ立って姿を見せた。 100メートルほど離れた日当たりの良い雪の斜面には、ルルとショーンが体を寄せ合ってまどろんでいる。 体型はオトナとほとんど変わりないが、まだネコのように高く甘えた鳴き声で若さを隠せない。 …

健診と検診

2年ほど前、なま返事を繰り返す消極的な私に業をにやした家人が、日帰りの人間ドックを電話予約するという強硬手段に及んだ。その存在を知ってはいたが、新しく建て替わった総合病院の回転自動ドアに吸い込まれ、そして数秒後に、高い吹き抜けで正面奥にエ…

都は弥生

<都ぞ弥生>なら有名な北大の寮歌だけど、”都は”って何よ、”は”って? んっ? いーんです。昔から勝手にそう思ってるんです。所用で東京に行ってきました。 車で立ち寄るときは、用事さえ済めばなるべく早く都内から出るのですが、飛行機で行ったときはそう…

白魔去りて

日本海とオホーツク海の2つの低気圧が発達しながら合体し、965hPaと大型台風並みの暴風雪で、遠慮がちに近づいていた春におもいきり蹴りを入れて遠ざかって行った。 全道各地で暴れ回った強風は、低温の為に結着力を持てない雪を吹き飛ばしてあらゆる…

間男退散

朝、工房裏手の陽あたりの良い斜面に3頭のキタキツネがいた。いちばん下の位置で前脚にあごを乗せてうずくまり、見慣れたルルがまどろみながらくつろいでいる。向かって数メートル右上には、腰を下ろしてはいるが首を突き上げてなにやら警戒気味の今年のパ…

スクープ!今年のオトコ

やっぱりそうだった!昨日の想像はドンピシャ大当たり。 今日は新しいオトコ(写真上側)を連れて現れた。去年の彼氏は神経質なビビリ屋で、何度か目にしたのはいつも後姿。視線が合ったりすると、その瞬間にルルを無視してすっ飛んで逃げるので、ついに顔つ…

胎内時計

昨日きれいに除雪した工房の前を、夜のあいだに降った雪が数センチ覆っていた。やわらかいキャンバスの上には無数の足跡。1頭だけの足跡ならいつものことだが、これはルルだけのものではない。ゆっくり歩きながらじっくり観察する。雪面にはっきり残った爪…

啓蟄

啓蟄(けいちつ) 二十四節季のうち地中で冬をやりすごした虫たちが、春の到来を感じて地上に姿を現す候。 暦の上の啓蟄は3月の初旬だが、この国の中枢ではなにやら原子力ムラの住民たちが蠢きはじめた。2030年までに原発ゼロをめざすとした前政権から…

増えるエゾシカ

全道で増え続けるエゾシカが問題になっていますが、札幌市内でも例外ではありません。 毎日通いなれた道の周辺でも、数年前から姿や痕跡を見かけるようになりました。今朝は塀に沿って植え込まれたオンコ(イチイ)の生垣の傍で、立派な角の雄鹿が疲れきって…

嵐が去って

先月の成人の日に、東京をはじめ本州各地でパニックを引き起こした降雪の記憶がそうさせたのでしょうか、3日前の降雪予想には関東近辺に緊張が走りました。前日から飛行機の欠航や電車の間引き運転が発表され、欠勤や覚悟の早出出勤の様子をニュースが伝え…

41年前の札幌

41年前のいま時分、札幌はオリンピックフィーバーで沸きあがっていた。 トワエモアの歌う「虹と雪のバラード」が繰り返しながれ、笠谷ら日の丸飛行隊が表彰台に日章旗を並べ、そしてジャネット・リンが尻もちと笑顔で世界を魅了した。40年以上という時を…

最高最低寒暖計

室温はともかく、外気温は今まで何となく<感>で判断していたが、もっとちゃんと確かめたくなって寒暖計が欲しくなった。それも最高と最低の気温が分かるヤツだ。 ホームセンターで店員に示された温度計の売り場には、デジ・アナ取り混ぜて数十種類も置いて…

禁煙力

煙草をやめたのが東北大震災のすぐ後だから、もう少しで禁煙生活が二年になる。はっきりした決意があってやめた訳ではない。 確かにここ数年来喫煙に対する圧力が高まり、値上げや健康志向をきっかけに身の回りで禁煙する人が増えてはいた。公共と名を付けら…

やっぱり木が好き

秀岳荘白石店のエントランスに立つ木彫りの看板を、新しいものに建て替えた。先代の社長に頼まれて、この店のOPENに合わせて建てたのが15年以上も前、それからずいぶん経って丸太の根元が腐り、かなり以前から少しグラついていたので、この際全部を新…

冷気はおもしろい

南極は今が夏とはいえ、このところの北海道は昭和基地よりもずっと寒い日が続いています。 札幌も歳の暮れから今日まで一度もプラス気温にならずに真冬日の連続です。工房の朝は−15℃以下、昼間も−5℃を上回らないせいで、水分のあるものは何もかもがガンガ…

冬毛のルル

久しく姿を現さなかったルルが元気な顔を見せてくれた。 いや、正確には姿を見せなかった訳ではない。朝、工房に来るといつも、行動パターンや歩様でそれと判るルルの足跡が、そこいらへんの雪上に残されていた。 だから来ていなかったのではなく、たまたま…